2007年7月27日〜28日 晴 今年は父の還暦、すなわち60歳を迎える記念の歳となりました。いやー、よく長生きしたなぁ。 そんな父が「自分の誕生日に、富士山に登りたい〜!」と冬からだだをこねていたので、たまには親孝行もいいかなぁ、ということで富士山に初めてチャレンジしてきました。 ちょっと長くなりますが、順を追って登山の様子を解説してまいりたいと思います。 今回登ったルートは「須走口」と言いまして、富士登山について解説しているホームページがいくつかある中で、一番オススメとされていたコースでした。息子としてはスバルラインから登る「富士吉田口」がメジャーでいいかな?と思っていたのですが、父の希望であれば聞かないわけにはいきません。そんなわけで須走口から登ったのですが、これが結局大正解だったようです。いい景色に恵まれました。 路肩に車がずら〜っと並んでいたので、我が家も同じように駐車して、まずは腹ごしらえにオニギリを食べました。オニギリは今年59歳となった母上が用意してくれたものでしたが、たくあんを含め本当に美味しかったです。高度が上がると美味しく感じるのか、本当に美味しかったのかは謎。。。なにはともあれご馳走様でした。 神社を後にすると、本格的な登山開始です。しばらくは森の中をテケテケと歩いて行きます。天気はこの時点では悪くもなく、良くもなくという感じで、そんなに暑くなくて良かったと思います。飛ばしすぎることもなく、一歩一歩ゆっくりと歩いていきました。 途中で休憩はこまめにとって、消耗を防ぐ作戦です。とりあえず5合目から6合目までがとても長いので、焦らず焦らず、一歩一歩歩いていきました。 そうこうしている内に森を抜け、周りの木がかなり低くなってきました。下界の景色が霧で見えないのが残念でしたが、それは明日のお楽しみ、ということで、てくてくと歩いていきます。 段々と景色が険しくなってきたところでやっと6合目に到着。空気が薄いのは自分では感じませんでしたが、父は感じていたようです。とりあえず記念撮影、ということで一枚撮ってもらいました。 その後、進んでいくとどんどん景色が険しくなっていきます。生えている植物も高山植物っぽくなってきて、そして霧も出てきて少し寒いくらい。歩いている時は多少汗もかくのですが、休憩していると寒い、という感じです。7月も下旬なのに。。。恐るべし、富士山。 休憩する時には立って休んだ方がいい、なんてことも参考にしたページには書いてあったので、休む時もなるべく立ってです。まあそうは言っても結構座ってましたけどね。この日の目的地は7合目だったので、ゆっくりと進んでいきました。 写真の通り、本当に険しい雰囲気となってきたその時、ついに本日の目的地である7合目の太陽館に到着です。2合しか登ってないのだけど、到着したのは17:00過ぎで、4時間弱ほどかかった計算になります。ここで空気に慣れて、睡眠も取って明日の山頂アタックに備える、という算段です。 とりあえず太陽館にチェックインして荷物を中へ。しばらくは宿の周辺などをうろうろしたりして時間を過ごしました。 よくTVなんかで見るヒマラヤとか高度の高いところ、と言った雰囲気で、この日は絶好の登山日和だったためか、次から次へと人が登ってきます。そして7合目のここで休んでいく人、さらに上を目指して登っていく人など様々でした。気温はやっぱり低くて10°くらいでしょうか。Tシャツで登ってきたのですが、ここでは持参したパーカーを着て丁度良い、というくらいでした。やっぱり寒かったです。 その後、2本目のビールを飲んだたら少し眠たくなってきたのでとりあえず寝ました。時間はまだ18:00頃でしたが、結局21:00頃までグッスリ眠ることができました。寝床は特筆すべき事項だと思うのですが、まあ狭い。本当に狭い。普通の布団に2人寝るよりも少し狭いくらい、といえばどのくらい狭いかわかってもらえるでしょうか?とりあえず寝返りをうつのが難しいくらいです。しかも左には大きないびきの父上、右には知らない他の人が寝ているという状態で、プチ神経質気味な自分としてはなかなかつらい環境でした。父上のいびきなんて、ここ何年も聴いてなかったしなぁ。。。 一度目が覚めたので外に出てみると、真っ暗闇なのにも関わらず、人が沢山登ってきていました。みなさんヘッドライトなどで照らしながら登って来るんですねぇ。普通に登っても結構きついのに、暗い中を登るのは相当大変だと思います。時々月が見えたりして、明日の天気に期待したりしていました。 (太陽館の前にて、結構寒い) その後、懐中電灯で照らしながら本を読んだり、外で煙草を吸ってぼ〜っとしたりしながら過ごし、23:30頃に、意を決して再度寝袋へ。興奮のためなのか、隣のいびきのためなのかわかりませんが、なかなか寝付けませんでしたがいつの間にかに眠っていたようです。次に起きた時は3:30頃でした。 外へ出て見ると、地平線の上にある雲の上が少し明るくなってきていました。星もたくさん。頂上の方を見ると、ヘッドライトの明かりが列をなしていて、沢山の人々が頂上を目指しているのが見えました。なんとも幻想的な雰囲気です。そして外には沢山人がいました。今登ってきたような人とか、疲れて果てている人など、人の数だけ物語がある、といった様相でした。 富士山の場合は山頂でも7合目でもほぼ同じようにご来光が見えるということで、7合目でご来光を見るという選択をしたのですが、眠って休んだ後にキレイなご来光が見られて、選択は正解だったなぁと改めて認識しました。 2日目は天気がとても良くて、周りの様子もよく見えました。ふと下の方を見ると雲が見えて、3000mよりも高いところにいるんだなぁ、と実感。下を見ると、よしっ、頑張ろう!という気持ちになれるものです。 8合目には意外とすぐに着いて、少し休憩して出発。しかし7合目以降はどこに行っても人が多い。印象的だったのは外国の方がとても多くて、やっぱり日本一の山なんだなぁ、と思ったりもしました。 この辺りではほとんど植物は見かけませんでした。相当険しい環境だということなのでしょう。気温は多分10℃くらいだと思いますが、登っていると寒くはなく、丁度良いくらいの気温でした。これが雨だったら。。。なんて考えただけでもぞっとします。 後は9合目付近の鳥居と、頂上の鳥居をくぐれば登頂達成です。9合目も過ぎると少し人が増えてきて、プチ渋滞状態でした。周りの人と同じペースで思い足を引きずりながら一歩一歩、踏みしめるようにして登って行きました。 この辺まで来ると、傾斜がかなりきつくて疲れと空気の薄さでかなりきついです。でも頂上がどんどん近くに見えてくるのでそれに勇気付けられて足を進めていく、という感じになります。 下の方を見ると通過した小屋が見えたりして、よくこんなところまで登ってきたもんだなぁ、と感心しちゃいます。 そして、残りの気力を振り絞り登って行くと。。。最後の鳥居が見えてきました。時間は8:00頃でした。そこで記念撮影。なんとか親子2人して登頂に成功したのでした。7合目から約3時間。長くはないけど、きつかった3時間でした。 頂上はもう東京のどこかのような混雑でした。みんな良く登るよなぁ、なんて思っちゃいますが、自分たちも登ってきたわけで、感心するばかりです。座ってコーヒーを飲んで一休み。景色がきれいに見えて、本当に登ってきてよかったなぁと思わざるを得ない心境でした。 初めて噴火口も見られました。いやー、スケールが大きい。噴火口というより、普通に谷です。雪も残っていたし。恐る恐る近づいてとりあえず写真は撮っておきました。すげーな、富士山!といったところでしょうか。 今回の登山の目的の一つに、父が山頂から暑中見舞いを出す、ということがありました。郵便局まで歩きつつ、お鉢参りを開始。1周4kmほどもあるということで、結構いい距離でしたが、富士山の山頂の中でも最高地点である剣が峰まで行かないとやっぱりいかんだろう、ということでやりました。時計回りに周ったのですが、途中郵便局に無事立ち寄ることもでき、残りは剣が峰。。。 しかーし! 最後の坂がすごい急坂で見るだけでガックリ。でも登らないと制覇できない!ということで、手すりに掴まりながら、這うようにして何とか剣が峰までとうちゃくしました。これで富士山制覇です。 その後元の位置に戻り、また少し休憩をとりました。前日は体調のことも考えて控えていたビールをおいしそうに飲む父上。達成感の中のビールはさぞ美味しかったことでしょう! 下り坂はほとんどが砂利というか、砂の中に少し石が混じっているといいますが、正確に言うと石ではなくて溶岩だと思うのですが、そんなところをてけてけと降りていきます。ビックリするほど楽です。さっきまでいた頂上がどんどん遠くなっていくのは少し悲しくもなりましたが、でも達成感につつまれているのでそんなことにもお構いなし。7合目の太陽館までも本当にすぐでした。 7合目からは須走口名物、「砂走り」が始まります。これがすごい!スキーで言えば直滑降でしょうか。足の裏で砂をガシガシ踏みしめながら降りていけます。途中父上を置いてけぼりにして先に行ってみたり、途中で待ったりしながらどんどん降りていきます。写真は砂走りをかなり降りてきた後に撮ったものですが、後ろに見えるの、わかるでしょうか? あれは体験しないとわからないかも知れません。説明が難しい。。。 砂走りっぽいところはその後もしばらく続き、6合目の小屋の高さもアッサリと通り過ぎ、しばらく行くと再び森の中へ入ってきました。ここまでくればもう一息!なんて思ったのですが、ここからが意外と長かったです。途中、父上は膝が笑っているような状態で、結構きつそうですが、それでももう少し!と踏ん張りながら下山してきました。 そしてついに行きにお参りした神社に到着。ここでお礼参りをしてから階段を降りて元の5合目へ。親子の2日間に渡る富士登山が無事終了したのでした。 それにしても何がすごかったって、車に乗る前に着替えたのですが砂埃がすごかった。。。鼻の穴と耳の中はじゃりじゃり。ウェットティッシュで拭きましたが、真っ黒になるほどでした。なるほど、砂走りを降りてくるときにはマスクが必要だっていうのは、これのことを言っていたんだなぁと変に納得しちゃいました。 総括すると、富士山に登るには途中の山小屋で泊まった方が高山病対策も含めて絶対にいい!ということでした。まあ夜発の強行日程を経験していないのでその辛さはわからないのですが、周りの人に聞く限り、泊まらないで登るのは単なる拷問!という人が多いので間違いないと思います。そして以外だったのが、小学校低学年くらいの子供も結構見かけたことです。小さい子でも焦らずゆっくり登ればなんとかなるのかな?と思いました。 次に富士山に登るのはいつになるのかは(そもそもまた登るのか?)わかりませんが、でも涼佳と沙和がそれなりの年齢になった頃にはぜひ一度この景色を見せてあげたいなぁ、と思ったのでした。 最後に、父上、お誕生日おめでとう!これからも楽しい人生をエンジョイして長生きしてください。あと、費用はほぼ全て負担してもらいまして、ありがとうございました。自分の還暦の頃には返せると思いますので、今しばらくお待ち下さいませ〜。 (レポート かる) 戻る |